EV(電気自動車)は、省エネや地球環境保護の観点に加え、その先進性から急速に世界中で普及しています。EVではパノラマルーフガラスの搭載が進み、そのガラス面積は大型化しています。EVはシートの下にバッテリーがあるため、シート位置がエンジン車と比べて高い位置にあり、搭乗者のヘッドスペースを確保するために、開閉式サンシェードを取り外す傾向があります。
ルーフガラスの大型化や、サンシェードを取り外すことにより、太陽の光をより車内に取り込み開放的な空間を実現します。一方で、ガラスを通じて入ってくる外部からの騒音が増すためルーフガラスには遮音性が求められています。
積水化学は、実車評価を通じてルーフガラスにおける遮音性能の必要性と、S-LEC™遮音中間膜の効果を検証しました。
ルーフガラスに遮音性能は必要なのでしょうか?
この疑問に対するアプローチとして、サンシェードが搭載されているモデルを用いて実車走行テストを実施しました。
助手席にダミーヘッドを設置し、サンシェードを開けた状態、閉めた状態、それぞれ一定距離を時速140kmで走行し音圧を測定。サンシェードを開けているときは、閉めているときよりも、最大で4dBの音圧差が確認されました。この結果からサンシェードを開ける、もしくは取り除くことで、車内にはより多くの騒音が入り込むことが実証されました。
パノラマルーフガラスを搭載するクルマが普及しているなか、ルーフガラスには、より高い遮音性と静粛性のニーズが高まることは明らかといえるでしょう。
約2平米のルーフガラスが搭載されているSUVのEVを用い、同じクルマに一般的な合わせルーフガラスと、S-LEC™遮音中間膜を搭載した遮音ルーフガラスを載せ換えて140km/hrの風洞試験を実施しました。
ダミーヘッドを前方座席・後方座席の4カ所に設置し、耳位置で音圧を測定したところ、最大3.2dBの改善が見られ、特にクルマの中央寄りの耳位置ではその改善効果が大きいことがわかりました。また、前方座席だけでなく、後方座席でも大きな遮音性の改善を確認しています。これを車内での会話のしやすさを表す会話明瞭度指数(AI値)に換算すると最大3.7%相当の改善効果があり、車内全体の静粛性改善に寄与しています。
この結果から、S-LEC™遮音中間膜を使用したルーフガラスは、車内の快適性向上に大きく貢献すると言えます。
一般的な合わせガラスと、 S-LEC™遮音中間膜を使用した遮音合わせガラスで、雨音を想定したラボ評価を実施しました。
それぞれの合わせガラスに対して、40mm/hの降水量の雨滴を降らせ、ガラスから35cmの位置(ルーフガラスから耳位置までの距離を想定)にマイクを設置し音圧を測定。その結果、遮音ガラスは通常ガラスより、最大5.9dBの遮音改善効果が確認されました。
このことから、 S-LEC™遮音中間膜を搭載した合わせガラスは雨音に対しても遮音効果が高く、車内の静寂性に貢献することがわかりました。
積水化学は、これらの実車・ラボ評価からルーフガラスにおける遮音機能の必要性、S-LEC™遮音中間膜を搭載したパノラマルーフガラスの遮音効果を確認しています。
評価方法・結果についての詳細や、 S-LEC™遮音中間膜に関するご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
積水化学の合わせガラス用PVB中間膜、S-LEC™フィルムは、遮音機能に限らずパノラマルーフガラスに求められる幅広いニーズに対応するソリューションを提供します。
透過率調整することで解放感と日差しの抑制を両立します。ガラス破損時にはその飛散を防止し、ルーフガラスの安全性にも貢献します。また、UVを99%以上をカットし、サンシェードのないクルマに乗る人の肌を守ります。遮熱機能と組み合わせることで、熱源となる近赤外線(NIR)を効果的にカットし、さらなる快適性を提供します。
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