S-LEC™遮音中間膜はこれまでフロントガラス中心に採用されてきました。近年、サイドドアガラスやルーフガラスにおいても遮音合わせガラスの搭載が増加しており、クルマ全体の遮音性能の向上に貢献しています。
普及が進みつつあるEVでは、フロントガラス・ルーフガラス・リアガラスが一体のガラスとして見えるようなデザインが増えています。ガラスが従来のクルマより大きくなることで、ガラスを通じて入り込む騒音も大きくなると言われています。
遮音合わせガラスの搭載部位を広がっている中、ここからさらにクルマ全体の遮音性能を底上げするには、合わせガラスそのものの遮音性能を上げる必要があります。
車室内に進入する騒音の音源としては、ガラスから透過する音、排気音といったボディパネルからの透過音が主とされてきました。透過音以外にも、フード、ワイパーやAピラー、ドアミラーによって巻き上げられる風の渦がウィンドウに当たることで起こる振動音、「擬音」があります。
この振動音(擬音)を抑える性能、ダンピング性能を大幅に向上させたS-LEC™遮音中間膜の新しい遮音グレード、SVグレードは振動音を大きく低減、フロントガラスだけでなく、サイドドアガラスにも採用することで、車室内の静粛性を飛躍的に高め、これまでにないラグジュアリーな心地よさを提供します。
積水化学が実施した大型SUVを用いた風洞試験による実車評価では、SVグレードをフロントガラス、サイドドアガラスに搭載することで、従来の遮音ガラスに対して高速走行時に最大2.3dBの遮音改善効果が確認されています。これは車内の会話のしやすさを表すAI値(Articulation Index)に換算すると3.3%の改善となり、ダインピング性能の向上による極めて高い遮音効果が実証されています。
特に空気抵抗の高いSUVなどの車種において、走行時のガラス振動伝達による振動音(擬音)が強くなる傾向があり、ガラスにおけるダンピング性能は車内の静粛性・快適性の向上に欠かせないものになってきています。
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CO2排出量削減による環境対応が社会課題となっている現在、環境負荷を低減するクルマづくりが求められています。ガラスが大型化する傾向がある中、ガラス薄板化(軽量化)はその手段の一つとして大きく注目されている一方、ガラスが薄くなることで車内に入り込む騒音が増えてしまう課題があります。
SVグレードを使用した合わせガラスは、そのダンピング性能から、従来の遮音合わせガラスよりも、ガラスを薄板化した場合の車内静粛性と、ガラス軽量化の両立に貢献するアイテムとして評価されています。
ガラス軽量化によりクルマ全体の重心を下げ、ダイナミックで安定したドライビング性能の向上に寄与します。
プロジェクトの設計ステージから自動車ガラスの開発をサポートし、ガラスに求められる性能、特性に応じて最適なソリューションを提案します。積水化学はグローバルに事業を展開し、積極的にイノベーションを進めています。プロジェクトにおける具体的な開発やサポート要望に関してお気軽にお問い合わせください。